祥仙の書道教室

千葉県松戸市で書道教室をしています。

墨の製造工程

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数年前に奈良の古梅園さんへお邪魔しました。

今は難しいとは思いますが、当時は予約をすれば、握り墨体験や実際に墨の製造現場を丁寧な解説とともに見学させてくださいます。

数百年続く伝統技法に感動しました。

パンデミックが収束したら是非また訪れたい素敵な場所です。

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墨(すみ)には、菜種(なたね)、胡麻(ごま)、桐(きり)の油(あぶら)を燃やして(もやして)採った(とった)煤(すす)から製する(せいする)「油煙(ゆえん)墨(ぼく)」、松脂(まつやに)を燃やして(もやして)の「松(しょう)煙(えん)墨(ぼく)」があり、最近(さいきん)は鉱物(こうぶつ)の煤(すす)から製する(せいする)墨(すみ)もあります。

 

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1.採(さい)煙(えん)

純植物性油(じゅんしょくぶつせいあぶら)を土器(どき)に入れ(いれ)、藺(い)草(ぐさ)でつくった芯(しん)に火(ひ)をともして土器(どき)の覆い(おおい)をかぶせ、その内側(うちがわ)についた煤煙(ばいえん)をとります。

 

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2.膠(にかわ)溶解(ようかい)

上質(じょうしつ)の膠(にかわ)を深さ(ふかさ)30cm(30せんち)ほどの銅(どう)壺(つぼ)に入れて(いれて)、70度(ど)のお湯(おゆ)で時間(じかん)をかけゆっくりと湯煎(ゆせん)をし、膠(にかわ)の溶かした(とかした)液を作ります。

 

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3.配合(はいごう)・練(ね)り

煤(すす)と膠(にかわ)の溶液(ようえき)を100対(つい)60の割合(わりあい)でよく混ぜ合わせ(まぜあわせ)、この時(とき)香料(こうりょう)も入れて(いれて)よく練り上げます(ねりあげます)。この練り具合(ねりぐあい)で墨(すみ)の生命(せいめい)が決(き)まります。

 

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4.型入(かたい)れ

墨(すみ)の文字(もじ)、図柄(ずがら)が彫って(ほって)ある梨(なし)の木(き)で作られた(つくられた)木型(きがた)に、光沢(こうたく)の出る(でる)までよく練られた(ねられた)墨(すみ)を型(かた)入れ(いれ)します。

 

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5.灰(はい)乾燥(かんそう)

木型(きがた)から取り出した(とりだした)墨(すみ)は、第1日目(だい1にちめ)は水分(すいぶん)の多い(おおい)湿った(しめった)木(き)灰(ばい)に埋め(うめ)、2(2)日目(かめ)以降(いこう)は徐々に水分(すいぶん)の少ない(すくない)木(き)灰(ばい)に埋め(うめ)かえていきます。

 

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6.自然(しぜん)乾燥(かんそう)

灰(はい)乾燥(かんそう)が終わり(おわり)、約(やく)7割(わり)の水分(すいぶん)が除かれた(のぞかれた)墨(すみ)は、藁(わら)で編んで(あんで)天井(てんじょう)から吊るして(つるして)室内(しつない)(自然(しぜん))乾燥(かんそう)をします。

 

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7.磨き(みがき)

乾燥(かんそう)した墨(すみ)は表面(ひょうめん)に附着(ふちゃく)した灰(はい)を1丁(ちょう)ずつ水(みず)で洗い落とします(あらいおとします)。その後(そのご)炭火(すみび)で焙り(あぶり)、微(び)に表面(ひょうめん)を柔らかく(やわらかく)して蛤(はまぐり)の貝殻(かいがら)で磨き(みがき)、美しい(うつくしい)光沢(こうたく)を出(だ)します。

 

 

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8.彩色(さいしき)

丹精(たんせい)込めて(こめて)つくられた墨(すみ)は、更に(さらに)しばらくの間(あいだ)、自然(しぜん)乾燥(かんそう)した後(あと)金粉(きんぷん)や銀粉(ぎんぷん)またいろいろな顔料(がんりょう)を用いて(もちいて)彩色(さいしき)します。独特(どくとく)の特徴(とくちょう)ある墨の紋様(もんよう)もこの彩色(さいしき)でより美しく(うつくしく)鮮明(せんめい)にあらわれてきます。